焚き火を模した本作品は、音響管方式をエンクロージャー(スピーカーの筐体)に採用した6ch音声出力のサウンドインスタレーションです。音響管の効果により、筐体の長さに伴った特定の周波数が共鳴によって付加されます。それによって、デジタル音声出力のスピーカーシステムにもかかわらず、アナログレコードのような暖かみのある音を聴くことができます。
また、作品中央に位置するサンドバッグに搭載した加速度センサーは、打撃による揺れを感知し、リアクティブなサウンドの変化を演出、身体の運動機能を誘導します。
「Mother plant」とは2つの意味を持つ。ひとつはマザー工場制において、メーカーが国外向けの事業拡大を行うために、それを支援する高い技術力と開発力を備えた工場を指す。そして、園芸などにおいて、挿し木や接ぎ木、株分けをする際の親株という意味をもつ。
本作品は焚き火をモチーフとし、私たち人類が文明を構築するに至った炎の存在と、その原始の記憶を蘇らせる。私たちは炎と共に進化し、あらゆる時代を超えた遺伝子と文明の末端として存在している。そして、さらなる発展と繁栄を求め、あらゆる文脈を創造する表現者の工場として、文化の元株として、「Mother plant」が機能することを祈っている。
炎の象徴としてのサンドバッグに、打撃をあたえることで薪がくべられ、炎は勢いを増し、心と身体が掻き立てられるのを感じて欲しい。
そして8つのアートに次ぐ、9つ目のアート「Martial art」をお楽しみください。
【必読 体験における注意事項】
・サンドバッグに強打を与えた時に、サンドバッグが転倒する可能性があるのでご注意ください。本作品の鑑賞に伴う怪我や事故につきましては、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
・原則としてグローブを使用した状態での体験をお願いします。グローブ以外の部位でサンドバッグに打撃を加えないでください。蹴り、タックル等も禁止とします。打撃可能な範囲は、明るくペイントされたサンドバッグ中部から上部です。また、周囲のスピーカーやケーブル類には十分ご注意ください。作品の破損、体験される方ご自身の怪我につながります。
・打撃を加えてから3分の間、激しい音がなります。万が一気分が悪くなった時には、すぐに体験を中止し、スタッフにお声がけください。健康状態に少しでも不安がある方は体験をお控えください。
・複数ラウンド(1ラウンド3分と30秒の休憩)の打撃体験を行われる場合に、鑑賞者の混雑具合によって、回数を制限させていただく場合もございます。その際にはスタッフからお声がけすることになるので、ご協力のほどよろしくお願いします。
・体験時には手指のアルコール消毒とマスク、ビニール手袋の装着をお願いします。
唐神 一樹
日本大学芸術学部音楽学科
情報音楽コース4年
現在の所属学科にてメディアアートを
専門に勉強しており、ジェネラティブアートや
詩的コンピューティングなどの
コンピュータ技術を用いた芸術表現の
可能性を模索している。
また、サウンドスケープ(音景色)に
興味があり、都市や自然の中で聴くことが
できる音がアーティストに
及ぼす影響に注目している。